博多人形(はかたにんぎょう)ってなに?
博多人形は主に福岡県福岡市の博多地区で作られる、色付けされた素焼き(すやき)の人形です。1601年に黒田長政が福岡の領主となり、福岡城を建てるために集められた多くの職人たちの中から博多人形のおおもとが作られたと言われています。「博多素焼き人形」としてたくさんの職人の力でさかんに作られ、1800年ごろになると全国に広がるようになります。
1890年(明治23年)に行われた「第3回内国勧業博覧会(だいさんかいないこくかんぎょうはくらんかい)」で博多素焼き人形が表しょうされましたが、その時の表しょう状に「博多人形」と書かれていたことからこの名前が多くの人に広まったと言われています。
1976年に日本の大臣にみとめられて伝統的工芸品(でんとうこうげいひん)になりました。
博多人形(型物)ができるまで
1ねん土の準備
博多人形の材料は同じ焼き物であるとう芸と同じねん土ですが、博多人形はよりキレイな人形を作るために細かくなめらかなねん土が使われます。ねん土は取ったものをそのまま使えるわけではなく、ゴミや空気を取ってより良いねん土を作ります。
2人形の型を作る
ねん土を材料にして人形を作るための型を作る『原型』を作ります。作品の良さを決めるとても大切な作業です。大まかに形を作ったあと、ヘラやちょうこく刀など色々な道具を使って細かな部分を仕上げていきます。
3複数の部分に切り分ける
出来上がった原型を糸やハリ金を使っていくつかのパーツに切り分けます。小さな作品の場合は切り分けないこともありますが、複雑な形の人形の場合20以上のパーツに切り分けることもあります。
4型を作る
切り分けたパーツごとに板状のねん土で囲って石こうを流しこみ、かわかすことで人形を作るための型(かた)を作ります。型を作ることで同じ形の人形をたくさん作ることができるようになります。型はパーツごとにオモテとウラの2まいに分けて、中にねん土をはれるようにします。
5型にねん土をおしこむ
石こうで作った型にねん土をおしこんで、原型の形をねん土に写していきます。この時、おしこんだねん土の厚さを同じにしないと、この後の作業で焼く時にひびわれたり形がゆがんでしまうのでとてもむつかしい作業です。
次に型におしこんだねん土同士を『どべ』と言うねん土を水でとかしたものを接着ざいにしてはり合わせていきます。オモテとウラに分けたねん土をはり合わせるので中がからっぽになり、底に小さなあなを開けることで焼いた時の空気のにげ道を作ります。はり合わせた部分をキレイにしたり形を整えて生地の出来上がりです。
6かわかして窯(かま)で焼く
完成した生地を2〜3日ほど自然にかわかします。じゅう分に生地がかわいたら、今度は窯で時間をかけて焼く『焼成(しょうせい)』をします。焼成が終わったらそのまま窯の中で冷えるのを待って取り出します。この焼成で出来上がった人形が『素焼き人形(すやきにんぎょう)』です。
7色をぬる
素焼き人形に筆で着物やかみの毛など、細かい部分まで色をつけていきます。この作業を『彩色(さいしょく)』と言い、一番大切な表情を書きこむ作業を『面相(めんそう)』と言います。色をぬる作業は全て人の手で作業され、これは博多人形の特ちょうの一つです。
8完成
これで博多人形の出来上がりです。
ここで説明した同じ形の博多人形をたくさん作る『型物(かたもの)』のほかに、一つの博多人形だけを作る『一品作(いっぴんさく)』と言われる方法もあります。
博多人形の作り方を知ることで、博多人形師の工夫や苦労を感じることができ、より博多人形を楽しめるようになることでしょう。